悩める医者・研修医「医学部受験まで勉強漬け。医学部もテスト勉強漬け。医者になってからは忙しすぎる。医者になんてならなきゃよかった・・・」
こんな医者・研修医の皆様に向けた記事です。
この記事では、医者にならなきゃよかったと思う5つの原因、そして具体的な2つの対策を実体験ベースで紹介します。
まずは今回の結論を先に。
まずは、何故医者にならなきゃよかったと思うのか、原因を明確にしましょう。
少し自己紹介をさせてください。
私は今、外科の後期研修医をしています。
外科の研修医、というだけあり毎日手術に病棟管理に学会・研究業務、毎日仕事に追われています。
私自身、仕事が嫌になったことが数えきれないくらいあります。
もちろん、医学生時代にも医学生が嫌で嫌で仕方なく後悔したことも何度もありました。
医者の皆様は少なからず、医者にならなきゃよかったと思ったことがあるのではないでしょうか。
今、思い返しても医者にならなきゃよかったと思った時のことは鮮明に覚えています。
研修医になったばかりで何も仕事ができない時、何度も同じミスをして怒られた時、救急外来で酔っ払った患者さんに暴言を吐かれた時、夜中に何度も病棟に呼ばれた時、指導医に大きな声で怒鳴られた時・・・。
正直、毎朝起きると胃が痛くて仕事に行くのがやっと、という時期もありました。
その都度、なんとか乗り越えて今も医者をしています。
今、「医者なんてならなきゃよかった」、そう思っている皆様の気持ちは痛いほどわかります。
今回は、そんな私の経験から、医者なんてならなきゃよかったと思う5つの原因、そして私がその時実践して、実際に気持ちがとても楽になった対策を紹介します。
つらくてつらくて仕方なかったあの時の自分に、つらい日々をたくさん乗り越えてきた今の自分からのメッセージとして、この記事に残します。
この記事が今悩んでつらい思いをしている一人でも多くの、研修医、医師の皆様の力になれば本当に嬉しく思います。
目次
医者にならなきゃよかったと思う5つの原因
まずは医者なんてならなきゃよかったと思う5つのきっかけ、原因について見て参りましょう。
一生勉強だと気づいた時
医学部に入ればゴールだと思って必死に受験勉強。
医学部に入ればもう大丈夫、安泰、と思っていたのに医学部に入ると日々留年と隣り合わせのテスト勉強。
気が付けばCBT。CBTで学年のヒエラルキーが決まると言わんばかりに周りは猛勉強。それにつられて自分も猛勉強せざるを得ない。
そしてすぐに来る卒業試験、国家試験。
このように医者になるまでに私たちは十分すぎるくらいの勉強をしてきました。
そしていざ医者になってみると次は目まぐるしく変わるエビデンスや手技の壁にぶつかります。
医者は変化の激しい知識や手技を常に習得し続けなければいけません。
計り知れない努力をして医者になったにも関わらず、医者になってからも一生勉強していくことになります。
医者は一生の自己研鑽、そしてコミュニケーション力などを要し、医学部に進学したものの、医者には向いていない学生が一定するいるというの記事が東洋経済Onlineにも掲載されています。これは過熱した医学部人気が原因だと述べられています。
医者は一生学び続けなければいけない。そう悟った時、医者なんてならなきゃよかったと思ってしまいます。
労働量に報酬が見合わないと思った時
世間では医者は高収入と羨ましがられます。
しかし、医者の皆様は自分が羨ましがられることにあまり理解ができないかもしれません。
医者は圧倒的に長時間の労働を強いられます。特に若い医師や中間管理職の医師は書類仕事や管理業務を含めると起きている時間はずっと仕事に追われています。
まともに睡眠をとることができない日も珍しくありません。
医者と過剰労働はここ最近だけの話題では決してありません。
お金のでない当直、呼ばれても時間外労働にならないオンコール、そもそも業務としてカウントされない学会業務や論文作成。
毎日をこういった仕事に追われる医師は多少収入が高くても、割に合わないと思ってしまいます。
実際、私の周りでも「お金があっても使う時間がない」、「お金より時間が欲しい」という声は多く聞かれます。
医者の仕事が自分にとって過重労働で割に合っていないと思う時、医者なんてならなきゃよかったと思ってしまいます。
やりたくない仕事が多い
一口に医者と言っても仕事の種類は様々です。
外来、病棟管理、手術、処置、書類仕事、研究....。
好きな仕事もあれば、人間誰しも好きじゃない仕事もあります。
例えば、手術がしたくて外科を専攻したのに、実際は若いうちは研究仕事や書類仕事ばかり。
研究がしたくて内科を専攻したのにずっと病棟管理。
自分のやりたい仕事ができず、やりたくない仕事に日々追われる経験は誰でもあるのではないでしょうか。
このように好きじゃない仕事に日々追われている時、医者なんてならなきゃよかったと思ってしまいます。
上司が威圧的すぎる
これも皆様経験があるのではないでしょうか。
怒鳴る上司、理由もなく不機嫌な上司、夜中に説教する上司、冷たい態度をとる上司。。。
医者の世界はやくざの世界とも言われる程、医者は厳しい縦社会です。
基本的に上司の言うことは絶対です。
私たちは医学生時代から部活など厳しい縦社会に半ば強制的に所属させられ、この縦社会にすんなりと溶け込むようトレーニングされます。
特に若手の医者は怒られるのは日常茶飯事です。
特に手技が多い科では血の気の多い先生に毎日指導なのかストレス発散なのかわからない程怒られながら過ごすことになります。
怒鳴ることはなくても、明らかに冷たい態度をとる、人によって態度を変えるといったことはどこの科でもあるのではないでしょうか。
こんな厳しい縦社会を垣間見た時、医者なんてならなきゃよかったと思ってしまいます。
同僚・部下が優秀すぎる
医者になる人は幼少期から英才教育を受けたり、学校では神童と呼ばれたような人達が多いです。
しかし、どんな世界も上には上がいます。
医者になると、圧倒的に仕事ができる人、記憶力がずば抜けている人、処理スピードが桁違いな人、など自分より圧倒的に優秀な人に出会います。
同僚や上司だけでなく、後輩であっても飛びぬけて優秀な人が普通に現れます。
私も、一回見たことを記憶できる同僚、年に20本くらい英語論文を書く上司、数か国語が堪能な後輩など自分と圧倒的な差がある人を数多く見てきました。
そんな優秀すぎる人に出会った時、「自分はどうしても彼、彼女に勝てない。努力でどうこうなる問題じゃない。」と一瞬で悟ることになります。
そんな自己嫌悪に陥った時、医者になんてならなきゃよかったと思ってしまいます。
医者が嫌になった時の2つの対策
それでは医者なんてならなきゃよかったと思った時、どうすれば良いでしょうか。
①医者の仕事そのものが嫌なのか、今の環境に不満があるのか考える。
②医者の仕事そのものが嫌なら他職種の転職を探して見る。今の環境に不満があるなら医者としての他の勤務先を探してみる。
私、そして友人が医者が嫌になった時、実際に行ったことです。
誤解が多いところですが(私も誤解していました)、他の勤務先を探したからと言って絶対にそこで勤務しなければいけないということは全くありません。
それでは掘り下げていきます。
医者が嫌な理由を考える
まずやるべきこと。
医者としての仕事が嫌なのか、それとも今の環境が嫌なのか、それを真剣に考えましょう。
医者としての仕事が嫌なのではなく、今の環境に不満がある場合はその不満の原因を考え、改善していくことができます。
より自分に合った環境に移動するのもありです。
しかし、医者としての仕事そのものが嫌な場合は環境を変えても根本的な解決にはなりません。
私の周りにも、医者が嫌だ、と言っている人は少なからずいます。
そのうちの多くは現在の環境に不満があるパターンです。しかし、一部、本当に医者としての仕事そのものが嫌だというパターンがいます。
そして彼、彼女らは自分が医者という仕事そのものが嫌であることに気づいていないことが多いです。
友人と話している中で、「あれ、環境への不満じゃなくて医者そのものが嫌なんだ」と友人本人が気づく、なんてことも何度かありました。
実際にその中の一人はコンサルタントの仕事に転職していました。
医者なんてならなきゃよかった、そう思う原因が分かれば個別に対応していきましょう。
医者として他の勤務先を探す
医者としての仕事は嫌じゃないけど、今の環境に不満がある方は、医者としての他の常勤先を探してみましょう。
大切なのは、医局や上司の紹介ではなく、自分で探すことです。
具体的にはエージェントに相談しましょう。
エージェントに相談してみるとわかると思いますが、今よりも勤務時間が短くて、給料が高い職場がいくらでも見つかります。
大切なことなのでもう一度言いますが、エージェントに他の常勤先を探してもらったからと言って、必ずそこへ転職する必要はありません。
大切なことは、自分には今の職場以外にどんな職場で働くことができるのかを把握することです。
これ、本当に気持ちが楽になります。
仕事に追われていると、どうしても今の職場での評価に固執してしまって、「自分はここで頑張らないといけない、自分はここで働くしかない」と凝り固まった考え方になってしまいます。
これはそう思ってしまうのが悪いのではなく、忙しい環境が正しい判断能力を奪っているからです。
「自分は今の職場を辞めても他に働けるところがある。嫌になったらいつでもこの職場は辞めることができる」
こう思えると、気持ちが本当に楽になります。
他の常勤先を探しておくことは、今の環境からの緊急脱出装置になります。
今の時代、エージェントを利用すれば医局からの紹介がなくとも良い常勤先はいくらでも見つけることができます。
私もこの二つを利用しています。
現代は様々なエージェントが乱立していますが、ぶっちゃけこの2つで十分です。私も他のエージェントを使ってみたりしましたが、使いやすさや求人数から結局この2つだけ使っています。
例えば、エムスリー(m3)では求人の時期、週の勤務時間、専門科、勤務地、専門科、などを順番に選択していけばすぐに登録できます。
求人の時期は、「良い求人があれば随時」にしておくと便利です。
今のエージェントはすごいです。
勤務地や勤務条件はもちろんのこと、「内視鏡専門医を取るための症例を積める病院」など、本当にあらゆる条件に対応してくれます。
実際に私の友人の消化器内科のママさん医師はエムスリー(m3)経由で勤務先を紹介してもらい、子育てと両立しながら内視鏡専門医を取得していました。
民間医局はエージェントでも老舗です。レジナビやドクターズマガジンがなじみが深いのではないでしょうか。
私が実際に指導を受けた外科の先生は民間医局を通して今の職場に来たと言っていました。今ではその職場の外科部長です。
民間医局は常勤だけでなく、非常勤求人にも強く、非常勤求人も専門のエージェントがついて相談に乗ってくれます。
とりあえず、2つのエージェントどちらも登録しておくのがおすすめです。
なぜなら、1つのエージェントにはある求人がもう一つのエージェントにはない、なんてことがざらにあるからです。
また、同じ求人でもエージェントによって若干条件が違うということもあります。
相場を知るためにも、複数求人に登録しておくことは大切です。
技術の進化でどんどん医局に所属している意味が少なくなってきているな、と思います。
いいサービスはどんどん使いましょう。
エムスリー(m3):医者専用の転職・アルバイト紹介サイト。専門医取得のための勤務先など様々な要望に応えてくれる。非公開求人が多く、転職を決めた人の9割が非公開求人を選択。
民間医局:非常勤求人にも強い。常勤だけでなく非常勤求人も専門のエージェントがついてアドバイスしてくれる。
【実体験】医師の転職エージェントの失敗しない選び方【用途別】の記事で転職エージェントの選び方・使い方についてより詳しく紹介しています。
医者としての仕事そのものが嫌な人。
この類の皆様は他の職種の求人を見てみましょう。
繰り返しになりますが、転職には転職には大きな変化とリスクが伴いますが、転職活動そのものはノーリスクです。
むしろ自分の市場での価値を図ることは大切です。
特に医者は他職種にめっぽう疎いです。当然ですよね、学生時代から医学しか触れていません。
まずはどんな仕事があるのか、自分に合った仕事はあるか、探すだけ探してみましょう。
自分の希望に合った仕事があれば実際に転職を考えるもの良いです。市場での価値がわかれば、それをあげる努力をするのもいいでしょう。
転職エージェントに聞くと、自分の希望職種ではどんな資格や職歴が転職に有利になるか、普通に教えてくれます。
私自身、初期研修医のころに仕事が嫌になり、他職種への転職も含めて転職活動をしました。詳しくは研修医がつらいと感じて私がした4つのこと【自分を大切に】の記事をご覧ください。
私は色々な仕事を見る中で、「やっぱり自分は医者が向いているかもしれない」と思い、今でも医者をしています。
転職活動をすると、私のように今が恵まれていることに気が付くかもしれません。自分の人生にとって大きな意味があったと思っています。
無料でできますし、絶対に損はしません。私自身良い経験ができたので転職活動をしてみるのは本当におすすめです。
おすすめの転職エージェントはマイナビジョブ20's、JACリクルートメントです。
私自身も利用したことがあります。私が尊敬するYotuberでありチャンネル登録者150万人以上の両学長 リベラルアーツ大学もおすすめしている3つのサイトのうちの2つです。
マイナビジョブ20's: 20~30歳代に強い。非公開・独占の求人が多い。
JACリクルートメント: 30~40歳代に強い。キャリア相談のみのOK。
個人的には医者としての勤務先探しも他職種の求人探しもどちらもやることをおすすめします。
なぜなら、医者が嫌になる時期は定期的に来るからです。
嫌になってからではなく普段からサイトに登録しておくなど環境だけでも整えて準備をしておきましょう。
私自身は医者としてアルバイトができるようになった今も、他職種の求人も定期的に見ています。上記の転職エージェントが送ってくださる求人はいつも目を通しています。
転職のピンチやチャンスは突然訪れます。
いざという時に動けるのは普段から準備をして相場を知っている人だけです。
サイトへの登録などはお金もかかりませんし、やるかやらないか、それだけです。
やれることは普段から準備をしておきましょう。
さいごに:無理は禁物です。
以上、医者にならなきゃよかったと思う5つの理由と2つの対策について紹介しました。
今回は私が実際にした具体的な対策について紹介しましたが、時には休むことも重要です。
無理を続けて体を壊してしまっては元も子もありません。
不満や辛い状況に対策をすることも重要ですが、どうにもならない時も多々あります。
そんな時、自分を大切にできるのは自分だけです。
くれぐれも無理はなさらないでください。
この記事が一人でも多くの悩める医師の皆様の力になれば幸いです。
今回紹介したエージェント
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民間医局:非常勤求人にも強い。常勤だけでなく非常勤求人も専門のエージェントがついてアドバイスしてくれる。
今回紹介した転職エージェント
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