悩める医師「医者が猛烈に余る時代が来るって聞くけど、大丈夫かな?どうしたら対策できるかな?」
こんな悩める医師の皆様に向けた記事です。
医師が猛烈に余るこれからの時代で医師に必要な2つの能力を紹介します。
医学部は20年程にわたって圧倒的な人気と競争率を誇ってきました。
今や、中堅の国公立大学医学部は東京大学理II類に匹敵する偏差値とも言われ、私立医大は早稲田大学、慶応大学に合格するレベルの学力が求められると言われている程です(DIAMOND ONLINE)。
しかし近年、「医学部バブル崩壊」とも揶揄されるように、次第に医学部人気も下がってきていると報じられています。
実際に超名門校である灘高校のトップ層の生徒は東京大学理科三類を受験する人が減っているようです(週刊ダイヤモンド)。
医者人気低迷の原因、それは、これまで絶対的な存在であった医者が猛烈に余る時代が来る、と言われているからです。
厚生労働省の試算によると、2040年には、1~4万人の医師が過剰になると言われています(Gemmed)。
医師数は約30万人なので、約10人に1人の医師が余るという計算になります。
これからのそんな時代を生きていく私達はどうすれば良いでしょうか。
少し自己紹介をさせてください。
私は今、外科の後期研修医をしています。
まだまだ医師になってから数年の駆け出しです。
私は最近、「これからの時代、医者が猛烈に余る」ということを知りました。
「こんな苦労して医学部に入って、医学部でも散々勉強して、苦労して医者になったのに、そんなのあんまりだ!」
正直、この事実を知った私はこのように、落胆し、将来がとても不安になりました。
確かに、実際のデータを見ながら考えると、計算上、医師が余る時代がくることになりそうです。
事実は事実として受け止め、私達は対策を取るしかありません。
そして私が思う、医者が余る時代を生きる私達に必要な能力は2つです。
それは、プログラミング力と転職力です。
なぜこの二つの能力を身に着けるべきなのか、そしてどうやって身に着ければいいのか。
以下で掘り下げていきます。
この記事は「医者が余る」という事実を知って落胆していた昔の自分に向けて、今の自分からのできるアドバイスとしての意味も込めて記しています。
この記事が、少しでも、これからが不安な医師のお力になれば幸いです。
医者が猛烈に余る
まず、医者が猛烈に余るのは本当なのか、考えてみましょう。
私は結論、多くの医者が職を失う、はないと思っています。しかし、医者全体の給料が下がる、はかなり現実的だと思います。
理由は3つあります。
大幅な人口減少、AIの活躍、医療費の増大です。
一つずつ見ていきます。
大幅な人口減少
日本は今、毎年50万人~100万人、人口が減る国です。
日本は2008年をピークに人口が減少しています。
2008年には1億2800万人程であった人口は2020年には1億2400万人ほどに減少しています。
そしてこれから人口減少は加速すると予想されています。
内閣府の試算によると、2040年には約1億700万人、2060年には約8600万人まで人口が減少すると予想されています。
当然、人口が減少すれば、患者の数も減ります。
そして医師の数の調整が遅れれば人口当たりの医師数は増加し、医者は余ることになります。
2020年より、医学部の定員を減らす流れがありますが、コロナウイルス感染症の流行などによる一時的な医療需要増加で実際には全く進んでいません(m3)。
医学部定員削減のタイミングが遅れれば当然医師は余ることになります。
AIの活躍
医者が余る2つ目の原因は、AIの活躍です。
これは医者に限った話ではありませんが、AI、ロボットによる人間の仕事の効率化は大きなトレンドです。
当然医者の仕事もAIやロボットに次第に置き換えられていくはずです。
個人的には、医者の仕事はロボットに代替できない部分が他の職種に比べて多いと思っています。
しかし、医師全体の仕事量は減少傾向をたどるはずです。
医師の仕事量が減れば、必要な医師の数は減ります。
このように、ロボット、AIによって医師の需要は減少することが予想できます。
医療費の増大
医者が余る3つ目の理由は、医療費の増大です。
日本は医療の高度化、高齢者の増加にともない、医療費が右肩上がりで増加しています。
膨大している医療費は、日本の財政を圧迫しています。
今、日本の医療費負担は70歳未満の方は3割、70~75歳の人は2割、75歳以上は1割となっています。
今後は高齢化がさらに進行するにあたり日本の財源はさらに厳しくなることが予想されています。
そして、日本の財源が厳しくなると、国民皆保険の崩壊、とまではいかないと思いますが、医療費の自己負担額が増加する可能性は非常に高いと思います。
医療費の自己負担額が増加すれば、患者の受診回数は減る可能性が高いです。
患者の受診回数が減れば、医者の需要も下がります。
患者の受診回数が減った場合、病院の収益は減ってしまいます。
結果、医者の給料が減るという可能性も非常に高いです。
医者が猛烈に余る時代に医者が身に着けるべき2つのスキル
以上、医者が余る理由を紹介しました。
ここからは、そんな医師過剰時代を生きる私達が生き残るために身に着けるべき2つのスキルを紹介します。
それは、プログラミング力と転職力です。
なぜこの二つの能力なのか。
以下で深堀していきます。
プログラミング力
医師過剰時代を生き抜くために必要な1つ目のスキルはプログラミング力です。
なぜなら、プログラミングは今、そしてこれからも大きく需要が増加しているからです。
医者の需要が減ると言われている一方、今需要が大きく増大しているのがプログラミングです。
医者の需要が下がるなら、需要が上がる分野のスキルを身に着けることでリスクヘッジしようという発想です。
また、医者の給料が減るのであれば、プログラミングの副業をして補填しようという発想です。
経済産業省の試算によると、日本では2030年には最大79万人のIT人材が不足すると言われています(日経XTECH)。
「プログラミングはもう遅い」
これは完全に間違いです。
むしろ向こう20年はプログラミングの需要は伸び続けます。
なぜなら、IoT(Internet of things)、医療分野ではIoMT(Internet of medical things)といって、あらゆるものがインターネットにつながるようになることで、より膨大なデータが収集されるようになるからです。
データが集まれば集まる程、それを処理して活かすプログラミング人材が必要になります。
そして、医療 x プログラミングは相性抜群です。
詳しくは、医者が今、プログラミング学ぶべき3つの理由【時代遅れになる前に】でアツく語っています。
AIに代替される医者になるか、AIを使いこなす医者になるか、今が運命の分かれ目です。
共に、AIを使いこなす医者を目指しましょう。
転職力
医師過剰時代を生き抜くために必要な1つ目のスキルは転職力です。
転職力とは適切なタイミングで、適切な場所に転職する能力です。
また、自分に合ったアルバイトを自分で見つける力も転職力に入ります。
なぜ転職力が重要なのか。
それは、医者がこれまでのように1つの施設や組織に1生を捧げることはこれまで以上に難しくなるからです。
これまで述べた3つの理由から、病院の財政はこれからもっと苦しくなります。
そして、人口減少と共に国の財力が減少すれば、国立大学、国立病院も余裕がなくなってきます。
そんな中、1つの病院がたくさんの医者に良い待遇を用意するというのは全く現実的ではありません。
大学病院などの大病院ではこれまで以上に給料が下がる可能性が高いですし、高給なポストは減っていくはずです。
そうなった時、自力で自分に合った転職先を見つける、自力で自分に合ったアルバイトを見つける力はとても大切です。
もちろん、医者が相対的に増えればアルバイトも激戦になります。
今からできる準備はしっかりとしておく必要があります。
少なくとも、「他の職場で評価されるには何が必要なのか(専門医や資格、職歴など)」、「今、どのような求人、つまり需要が増えているのか」などはいざ、転職が必要になる前から把握して行動しておく必要があります。
具体的には、エージェントを利用するのがおすすめです。
誤解が多いところですが、エージェントに相談したからといって、必ずその職場で働かないといけないということはありません。
「良い求人があれば転職を考えている」と最初に伝えておけば、せかされることももちろんありません。
これからはエージェントとうまく付き合っていく、もっと言うと、うまく利用する能力は医師に必須だと思います。
エージェントは登録も無料ですし、相談するのも無料です。たとえ転職が決まってもお金はかかりません。
エージェントを使うデメリットは、エージェント担当者とやり取りの手間が生じる、程度です。
早めに登録して一生付き合っていける担当者を見つけることをおすすめします。
正直、信頼できる担当者に出会えれば、アルバイトも転職もかなりイージーモードになります。
今は、転職とかアルバイトは考えていない、という人こそ利用してみてみることをお勧めします。
さいごに
以上、医者が猛烈に余る時代に医師が身に着けるべき2つのスキルを紹介しました。
確かに、日本の医師にはこれから厳しい時代が迫っています。
しかし、行動する人の未来は明るいはずです。
私も日々挑戦中です。
一緒に未来のために一歩踏み出しましょう。
この記事が一人でも多くの悩める医師の皆様のお力になれば幸いです。