研修医

研修医・医学生のための超具体的な3つのプレゼン極意

みなさんこんにちは。外科医のさとう(Twitterはこちら)です。

 

みなさんはプレゼン得意ですか?

 

プレゼンはちょっとしたマインドセットとテクニックです。

 

今回は研修医1年目の1発目の学会で研修医賞を受賞した私が,伊藤洋一さんの名著・"1分で話せ”について解説していきます。

 

私は医学生の時プレゼンが大嫌いでした。

 

なぜなら,私のプレゼンはカンファで高確率で炎上するからです。

 

医学生の頃,私の大学では科ごとによく症例プレゼンやまとめの学会形式のプレゼンがありました。

 

これが,まあ炎上するんですね,特に私が。

 

しかし,研修医が始まったころ,このままではいけないと思いプレゼンの勉強をしてみました。

 

勉強していくと,プレゼンってセンスだと思っていたけど,テクニックなんだ,そう気づきました。

 

研修医はプレゼンの練習をするのに最高の環境です。

 

研修医は毎日上級医やカンファでプレゼンする機会がありますよね,しかも慣れない環境で。

 

これは最高の環境です。プレゼンの勉強をして,すぐにアウトプットできます。しかも,失敗しても数週間後には別の科におさらばしてみんな覚えちゃいません。

 

プレゼンはセンスではなくテクニックです

 

その証拠に学生の時プレゼンが炎上しまくっていた私は研修医1年目の1発目の学会で研修医賞を受賞しました

 

今回は私が研修医の時に読んだ最高の1冊の1つである1分で話せ 世界のトップが絶賛した大事なことだけシンプルに伝える技術について私が最も大事だと思ったプレゼンの極意を3つ紹介します。

 

そして最高のプレゼンのための医師・研修医の超具体的な3つのアクションプランも紹介します。

 

研修医・医学生のための超具体的な3つのプレゼン極意

 

本書の著者の伊藤洋一さん,ソフトバンクの孫正義さんが後継者を作ろうと始めたソフトバンクアカデミアで良いプレゼンをしまくってCEOコース一位をとったものすごい人です。

 

そんなプレゼンマスターの伊藤洋一さんが書いた“一分で話せ”、早速結論である3つの極意を紹介します。

 

プレゼンの3つの極意

  • 常に相手を意識する
  • 3段ピラミッドを意識する
  • リトルホンダを作る

 

それでは1つずつ見ていきましょう。

 

常に相手を意識する

これが最も重要です

 

プレゼンを何のためにするのか。

 

プレゼンはきれいなパワーポイントを作るためでも,自分が身振り手振りでかっこよく振る舞うことでもありません。

 

プレゼンの目的は聞き手を行動させることです。

 

プレゼンをする時には,誰にプレゼンをするのかしっかり把握してから準備に取り掛かってください。

 

例えば,研修医が外科の学会で発表するとします。

 

ここでの聞き手は観客になります。外科の学会の観客は大半が手術が大好きな外科医です。外科医達の前で症例の基礎疾患のロジックや最新の病態知見,内視鏡テクニックなどを語ったところで外科医達はそれらに何の興味もありません。

 

なので発表は観客の興味がある分野を重点的に攻めてください。

 

外科医達が興味があるのは,治療のdecision makingや術式の工夫,術後経過,手術のアウトカムなどです。

 

学会に演題を出すことが賞を取るためであるなら賞の決定権は誰にあるのか,その先生の専門はどこでどの分野に特に興味があるのか。

 

これらをまず徹底的に調べ上げてください。

 

聞き手の心に訴えて聞き手を行動させる,これがプレゼンの目的です。

 

そのためには聞き手の背景,基礎知識,興味をまずしっかりと把握することが大切です。

 

3段ピラミッドを意識する

1分で話せ。

 

3段ピラミッドとは,結論→根拠→事実の順で論じていく手法です。

 

噛み砕いて言うと,結論→エビデンス→具体例と言い換えることができます。

 

例えばコロナ肺炎について学会で症例発表をするとします。

 

結論,コロナ肺炎にはステロイド使用が有効であると冒頭で論じます。

 

症例報告において,3段ピラミッドの2段目,根拠にあたるのは文献です。コロナ肺炎では高度に肺胞壁の線維化を生じるためステロイドを使用することが有効であるとする文献,実際にステロイドを使用したことで呼吸状態が改善したケースシリーズなどがあればそれが根拠になります。もちろん文献は信頼度が高いほど良い根拠になります。

 

そして具体例にあたるのは実際に経験した症例です。当院の60歳透析中の患者において呼吸状態が悪く挿管管理となりましたが速やかにステロイド投与を開始したことで呼吸器離脱ができました。と経過を詳しく説明していきます。

 

このように結論→根拠→具体例の順で説明することで聞き手の脳を支配し,「なるほど,当院でもコロナ肺炎の患者が来たときはステロイド使用を検討しよう」と聞き手に行動させることができます。

 

この3段ピラミッドがなぜ聞き手の脳を支配できるのか,それは左脳と右脳の両方に訴えかけているからです。

 

まずは結論を言うことで聞き手に「なぜその結論になるんだ?」という疑問がわきます.その疑問に対して根拠を述べることで論理的な思考を司る左脳を支配することができます。

 

その後,身近な具体例を提示することで聞き手に想像させる,よってイメージを司る右脳を支配することができます。

 

このように左脳・右脳両方に訴えることによって聞き手を自然と行動させることができます。

リトルホンダをつくる

ジャンクスポーツ

サッカー元日本代表の本田圭佑選手をご存知でしょうか。

 

本田圭佑選手が名門サッカークラブ・ACミランに移籍した時の会見でなぜACミランを選んだのかと聞かれた時にこのように答えたことが話題になりました。

 

リトルホンダを作るとはつまり,自分を客観的に見るもう1人の自分を用意することです。

 

プレゼンをしている時の自分が聞き手からどのように見えているか,自分の話がどのように聞こえているのか,それを観客として客観的に判断しながらプレゼン中の振る舞いを変えていくんです。

 

これはなかなか難しいです。

 

私も挑戦していますがまだしっかりと身につけることができていません。

 

本書ではリトルホンダをつくるための超具体的なテクニックが紹介されています。

 

一つは,プレゼンする実際の場所に早く行って実際にそこでプレゼンしている自分を想像することです。

 

まずは聞き手の位置に座って話し手の見え方をしっかりとイメージできるようにします。

 

このテクニックは私も挑戦中です!是非一緒に取り組んでいきましょう。

医師・研修医の3つのアクションプラン

 

それでは医師・研修医が良いプレゼンをするための今日から使える3つのアクションプランを紹介します。

 

医師・研修医のための3つのアクションプラン

  • 結論から申し上げますとと最初に言う
  • 学会発表では「はじめに」のスライドで結論を述べる
  • 科内カンファで上級医が早く終わらせたいか判断する癖をつける

 

1つずつ見ていきましょう。

結論から申し上げますとと最初に言う

 

上級医に「この患者どう?」「これどうなってんの?」と聞かれた時、

 

長谷川式をやったら19点で,今日は食事を7割食べられていて...あっ!採血ではアルブミンが0.2あがっていて,あとは....

 

 

これやってしまっている研修医いませんか、私はよく見かけますし私もそうでした。

 

とりあえずその患者に起こったことを重要度関係なくどんどん羅列していって結局何が言いたいのかわからない,カンファでも日々の相談でもこのように的を得ていないことをずっと話してしまう。

 

これを防ぐために,まず結論から申し上げますと」と言う癖をつけてください。

 

結論から申し上げますとこの患者の状態は改善傾向です。なぜなら,食事摂取量も上がっています、血液検査でも炎症反応は下がっています。

私の推測ですが,先日始めた抗菌薬が著効しているのではないでしょうか。退院先について相談を始めるのはいかがですか。

 

このように上級医に伝えることができたら100点です。

 

「結論から申し上げますと」と最初に言う癖をつけることで強制的に自分に結論から話させることができます。

 

また追加のテクニックとして,患者の状態を述べる時は事実→推測の順で述べ,その2つを明確にわけてください

 

上級医からするとどこが事実なのか,そしてどこが研修医と相談するべき意見なのかこの区別が難しいと非常に困ります。

 

少し本題とずれますが重要なことなので是非やってみてください。

 

学会発表では「はじめに」のスライドで結論を述べる

 

イントロダクションのスライドは必ず用意してください

 

学会発表で「はじめに」いわゆるイントロダクションのスライドを用意せずにいきなり症例の経過を発表する人結構いますよね。

 

これだと症例経過のどこに注目スべきなのか全くわからず,聞き手の注意はどんどん逸れていきます。

 

先程の3段ピラミッドを思い出してください。

 

イントロダクションで以下に聞き手の注意を惹きつけられるか,ここが重要です。

 

イントロダクションを制する者はプレゼンを制する。

 

絶対にイントロダクションを用意するようにしてください。

科内カンファで上級医が早く終わらせたいか判断する癖をつける

 

これはプレゼンの極意の「相手を意識する」に通じるアクションプランです。

 

研修医は様々な科をローテーションして色んな科でプレゼンしますよね。

 

プレゼンで相手を意識する第一歩として科内カンファで上級医たちが早く終わらせることを求めているのか研修医の教育のためにしっかりと時間を使うのか判断する癖をつけてください。

 

たとえば,外科のカンファで長々と既往疾患の病歴をはなしていたら上級医たちはすぐにイライラし始めますよね。

 

一方神経内科ですごく手短にプレゼンをするといやいやそこのアセスメントはどうなってるんだよと炎上しますよね。

 

まずは上級医達が手短に終わらせることを求めているのか,しっかりとアセスメントして議論することを求めているのか,そこをしっかりと考えるようにしましょう。それに合わせて自分のプレゼン内容をチューニングしてください。

 

さいごに

みなさんいかがでしたでしょうか。

 

今回の内容をまとめていきます。

 

プレゼンの3つの極意はこちらです。

 

  • 常に相手を意識する
  • 3段ピラミッドを意識する
  • リトルホンダを作る

 

医師・研修医が今日から使える良いプレゼンのための3つのアクションプランはこちらです。

 

  • 結論から申し上げますとと最初に言う
  • 学会発表では「はじめに」のスライドで結論を述べる
  • 科内カンファで上級医が早く終わらせたいか判断する癖をつける

 

プレゼンは全社会人が必ず必要とされるスキルです。

 

プレゼンスキルを身に着けて1つ突き抜けた存在を私と一緒に目指しましょう。

 

今回解説した1分で話せ 世界のトップが絶賛した大事なことだけシンプルに伝える技術には紹介しきれなかったプレゼンの極意が満載です。

 

是非下のリンクから読んでみてください。

 

 

こちらの記事で他にも役立つおすすめ書籍を紹介しています。是非ご覧ください。

 

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では,また!

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