困る医師・研修医「最近外国人の患者さんが来るけど、うまく診察できない。どうしたら英語でうまく診察できるようにるだろう。。。」
このような疑問にお答えします。
英語で診察することは短時間で習得できます。
日本における外国人患者の数は年々増加傾向にあります。
こちらの表は総務省の「外国人患者受け入れ体制に関する厚生労働省の取り組み」より抜粋させて頂いています。
現在はコロナウイルスの影響で日本の外国人の数は少なくなっていることが予想されますが、近年外国人の数は右肩上がりに上昇していました。
内科学会雑誌でも「外国人患者増加時代における内科医療の展開」として執筆される程外国人患者の増加はホットな話題です。
そんな中、「英語での診察がうまくできない」という悩みを最近よく耳にします。
医学部ではOSCEという診療の型のテストがあり、医学生は皆そこで診療の基本について嫌でも勉強することになります。
しかし、英語診療は医学部ではほとんど教えてくれません。
医学生が英語を勉強する重要性に関しては、医学生が英語を勉強するべき3つの理由【医学より英語】で詳しく解説しています。
研修医となり診療の現場に出ると、突然多くの外国人を診察することになってしまいます。
少し自己紹介をさせてください。
私は今、外科の後期研修医をしています。
初期研修からいわゆる国際病院で勤務し、たくさんの外国人診察をする機会がありました。
英語診察など全くやったことがなく、最初はうまく出来ずに先輩に迷惑をかけてしましました。
今回はそんな私が英語診察をそつなく出来るようになるまでに実践したことをご紹介します。
たくさんトライ&エラーを繰り返した中で特に効率が良かったものをピックアップしてご紹介します。
この記事が少しでも、英語診察ができなくて悩んでいる医師や研修医の方の力になれれば幸いです。
英語で診察できるようになるための3ステップ
今回は英語診察を身に着ける工程を3ステップに凝縮してお伝えしていきます。
早速結論ですが、英語診察ができるようになるための3ステップはこちらです。
英語診療ができるようになるための3ステップ
- 診療の型を作る。
- 型を英語にして反復練習する。
- 後はリスニング力をつけるだけ。
英語診察というと「USMLEの勉強とかすごく大変な思いをして取得しないといけないんでしょ」と思われるかもしれません。
しかし、決してそんなことはありません。
英語診療ができる、というのは「医学英単語の語彙力 x リスニング・スピーキング力」になります。
英語のリスニングがある程度できて日常英会話ができる、そして医学英単語がわかるという状態であればそれが「英語診療ができる」という状態になります。
なので医学英語をトレーニングするには、「英語のリスニング力・スピーキング力」と「医学英単語の語彙力」を分けてトレーニングする必要があります。
必ずしもUSMLEの勉強をしていた=英語診療ができるではないということです。
USMLEのstep1は基本的には筆記試験、「リーディング力と医学知識」を問う試験です。
なので英語を学ぶためにUSMLEの勉強をする方がいますが、個人的にはおすすめしません。
英語の勉強とUSMLEの勉強は別物だからです。
英語診察ができるようになるためには、その目的への最短ルートを心がけましょう。
それが先ほど述べた3ステップです。
3ステップの実践
診察にはルーチンがありますよね。まずは診察に型を作りましょう。
今回は救急外来のwalk in診察を想定してみます。
救急外来の診察には大体の型が存在します。
相手の名前・生年月日を確認→どうして病院に来たのか尋ねる→症状のOPQRST(Onset, Place Palliative&Provoke, Quality, Related symptom, Severity, Time course)を聞く→AMPLE(Allergy, Medication, Past medical history, Last meal, Event&Environment)を聞く→身体診察→検査を組む→検査説明をして方針を説明
多少患者によって違いはあれど大方この流れで診療が進みます。
まずは自分の中で問診のルーチン、型を決めましょう。
ルーチンができたらそれを英語にしましょう。
例えば、「今日はどうなさいましたか?」→「What brought you here today?」 「それはいつからですか?」→「When did it start?」 「アレルギーはありますか?」→「Do you have any allergy?」といったように。
英語にしてみると、検査結果や方針説明以外は簡単な英語疑問文で事足りることがわかります。
結果説明においてもよく使うフレーズや単語があります。
例えば、「Creatinine is slightly high 」 「WBC is within normal range」など使い勝手のいい単語やフレーズがあります。
自分の中でよくあるシチュエーションを想定しておきましょう。
型を英語にした後は反復練習です。自分で架空の患者を想定して練習しましょう。
この型さえできれば、後はリスニング力をつけるのみです。
自分の問診に対しての患者さんの回答を聞き取ることができれば基本的には問題ありません。
詳しく聞きたい部分や疑問点はさらに深く聞いていきましょう。
しっかりと内容が理解できれば適切な診断、治療などの判断を下すことができます。
リスニング力は中々小手先のテクニックで一長一短に身に付くものではありません。
ここは辛抱強く継続して学習していきましょう。
具体的なリスニング勉強法は【実体験】医学生のための英語勉強法まとめ【楽しく続く】で詳しく説明しています。
是非参考にしてください。
さいごに:恥ずかしがらずに経験を積みましょう。
何事も最初はできなくて当たり前です。
出来なくて恥ずかしい、なんて思う必要は全くありません。
むしろ恥ずべきは挑戦せずに逃げてしまうことです。
「自分は英語だめなんで外国人は他の人でお願いします。」
と逃げてしまっては、いつまでたっても上達しません。
まずは当たって砕けましょう。
経験を積みながら少しずつ、工夫して改善していきましょう。
それができれば、気づいた時には最初とは見違える自分に出会うことができます。
私もまだまだ勉強中の身です。
より良い人生にするため、一緒に頑張りましょう。